ボードゥアン、ピエール=アントワーヌ Baudouin, Pierre-Antoine 1723~69

 フランス・ロココを艶麗に彩った画家の一人。ブーシェの愛弟子で、ブーシェの娘婿でもある。師と同様にポンパドゥール侯爵夫人の庇護を受けた。

 ボードゥアンは水彩画の一種であるグワッシュによる細密画を得意とした。《アレオパゴス会議員の前で不敬を咎められるフリュネ》というグワッシュによる歴史画でアカデミー入りを果たし、聖書の挿絵も手がけている。

 しかし、彼の名を高めたのはなんといっても同時代に場面を据えたエロティックな情景であり、やがて春画や枕絵の専門家として名を馳せた。

 そのいっぽうで、ディドロら批評家からは特権階級のデカダン趣味に迎合した頽廃画家として非難を浴びた。1763年および65年のサロンでは、不道徳を理由としてパリ大司教から出品作の撤去命令を下されている。

 ボードゥアンはブーシェのエロティック画に強い影響を受けた。それにくわえ、うわべだけ道徳的な主題や念入りな細部描写には、「道徳画」で一世を風靡したジャン=バティスト・グルーズ(一七二五~一八〇五)の影響も窺える。

 旧体制の末期に春画家として大いにもてはやされたものの、40代半ばにして夭折し、その役回りを親友フラゴナールに譲った。


 

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