18世紀(ロココ) Erotic Art in the 18th Century

 18世紀は理性の時代であるとともに、官能の時代でもありました。啓蒙思想が流布するこの世紀は、性豪ぶりを天下に鳴らしたフランス王ルイ15世やロシア女帝エカテリーナ2世の時代であり、稀代の色事師カサノヴァ、サド侯爵の時代でもあります。

 18世紀はギリシア・ローマ時代、ルネサンス期に続いて到来した第三のエロティック・アート黄金時代であり、フランス宮廷を中心として、官能的で遊び心に満ちた美術が華やかに開花しました。

 ヴァトー、ブーシェ、フラゴナールらフランスのロココ絵画の巨匠たちは、ルイ15世やポンパドゥール侯爵夫人を始めとする王侯貴族の庇護のもと、恋愛やセックスを楽しいゲーム、心地よい娯楽として、典雅で洗練された筆致で描きだしました。

 複製技術が飛躍的に向上する18世紀はまた、版画の世紀でもあります。ロココの巨匠の名画を翻刻したり、貴婦人のあられもない姿を活写した、いわゆる「艶情版画(エスタンプ・ギャラント)」も忘れてはなりません。

 さらに、フランス革命前夜の「地下世界」で、好色文学の挿絵や諷刺パンフレットなどのかたちで流布した非合法のポルノグラフィックな版画も、けっして見落としてはなりません。

 それらには、神話などの口実なしで、セックスや性器がしっかり描かきこまれています。これら「ポルノ版画」は、政治的宣伝の道具として、あるいは性の商品として、広く大衆に供給され始めました。

 18世紀のエロティック・アートはフランスが断然中心であることは否めません。けれど、イギリスではホガースやローランドソン、ドイツではホドヴィエッキやランベルクといった面々が輩出しました。彼らの作品には、フランス流の遊び心に満ちた艶情世界へのあこがれと、新興市民階級の禁欲的なブルジョワ道徳の影響とが、はっきりと伺われます。

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